オフィスを借りていた方が移転などで退去する場合、オフィスを原状回復する必要が出てきます。
退去する場合、オフィスの原状回復は必ず行わなければなりませんが、「どこまで工事をするのか?」、「工事の内容はどうなっているのか?」疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
今回はこれらの点について紹介していきます。
オフィスの原状回復はどこまでするのか
オフィスの原状回復は、基本的にオフィスとして利用していた部分を全て原状回復する事が必要です。
内容としては、壁のクロス(壁紙)張替、床のタイルカーペット張替、天井・扉などの塗装、クリーニング(居室、エアコン、ブラインド)、造作物の撤去工事などがあります。
先程全てと書きましたが、これは専有部に限り、通常共用部は含まれません。
例えば、エレベーターから居室までの通路、共用の通路に面しているトイレなど、他の会社と共通で使っている場合は通常は原状回復の範囲に入りません。
もし、原状回復する際の見積もりに、共用部が含まれているならば、原状回復の範囲を超えていると判断できるので、大家さん・管理会社側に外せるか相談しましょう。
また、自分たちでキズ付けたものや汚したものはもちろん原状回復しなくてはなりませんが、自然に劣化したものも原状回復する必要があります。
本来アパート・マンションなど住居であれば、経年劣化は原状回復の内容に当てはまらないのですが、オフィスの場合は、経年劣化等は関係なく全て原状回復する必要があります。
これは、アパート・マンションは原則、住居として使用するのが目的で、借手が異なっていても損耗などを想定でき、賃料に原状回復分として含めることが出来ますが、オフィスの場合、借手によって使い方も様々で、内装工事も入る前提なので、賃料に原状回復費がふくまれておりません。このため、オフィスは全て原状回復をする必要があります。
※但し、契約書に記載がある場合はそちらの内容が優先されます。
また、原状回復は「入居したときの状態に戻す」ことなので、大家さん・管理会社側から入居時よりもグレードの高い高価なもので工事を要求された場合は、安価なものに置き換えることが出来る可能性が高いです。
オフィスの原状回復の工事の内容は
オフィスの原状回復の工事内容を項目ごとに紹介していきます。
まず、残物や配線、内装材の撤去や造作物(後付の壁や作り付けの家具など)の解体作業が行われます。
解体作業は騒音を伴うことが多いので、土日や夜間での作業になることもあります。
解体が終わりオフィス内が空になると内装工事がはじまります。
まずは塗装です。
汚れや傷などが付いている天井、窓枠やドアなどの鉄部の塗装を行なっていきます。塗装については、最近ではニオイのする有機溶剤系からニオイの少ない水性塗料が増えてきています。
塗装の次はクロス張替えになります。
既存のクロスを剥がし、新しいものに張替えていきます。
壁にビスなどの穴が空いていたり、凹凸がある場合は、このクロス工事の際にパテで穴を補修し、その後クロスを貼ります。
ここでの下地処理がずさんだと、新しいクロスを張ったときにデコボコして目立ってしまいます。
新築時とことなり、原状回復やリフォームの場合、クロスの下地を再利用している形になるので、クロス張替の難易度は難しくなります。
クロス工事が終われば、床工事を行います。
オフィスの場合、ほとんどがタイルカーペットです。既存のタイルカーペットを新しいものに張替えていきます。
タイルカーペットはつなぎ目が目立たないよう、あえて市松貼りにします。
また、クロス同様下地処理が大事で、ここを適当に行うとタイルカーペットがデコボコをひろい、つなぎ目が浮いてしまったりします。
塗装、クロス、カーペットが終わると、オフィスのクリーニングを行います。工事の際のホコリなどはここでスッキリとします。
また、絶対ではないですが、エアコンの内部洗浄やブラインドの超音波洗浄なども行います。
このような工事内容で原状回復を行なっていきます。
原状回復をする際の注意点とは
原状回復を行う点で大事になってくるのはどのくらい費用をかけるかという点です。
原状回復の際の工事の費用は、オフィスを移転する際の大切な資金ともなるので、しっかりと見積もりなどの確認を行う必要があります。
そのため、事前に原状回復工事の内容をしっかりチェックすることが必要になります。
特に確認をしておく点としては、工事の範囲や項目、内容になります。
ここまでに書いたものを全て契約書に記載がなかった場合になります。
賃貸借契約書チェックして原状回復工事の行う箇所や使用する部材、品番などが細かく設定されている場合はこちらが優先されます。
ただ、細かく記載されていない場合も、直ぐに工事の見積もりを自分で取るようにするのは避けた方が良いです。
大家さん・管理会社側と工事箇所、数量などをしっかりと話し合い、その内容で実際に現地をみてもらえる業者に見積もりを依頼しましょう。